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17 ONE PIECE 2011年カレンダー GA info.

17 ONE PIECE 2011年カレンダー GA info.

 多くのコミック印刷には、通常のプロセス4色に蛍光ピンク版が追加されていることをご存知だろうか?今回のプリンターズリソースでは、累計発行部数2億冊を誇る人気マンガ『ワンピース』の2011年カレンダーを題材に、コミック原稿の印刷再現について取り上げる。


©尾田栄一郎/集英社

 コミック原稿はコピックなどのカラーマーカー、もしくはCGで描かれていることが多く、彩度が高い。そのため、印刷で使用するプロセス4色に置き換えると色が鈍くなってしまうという難点がある。そこで一般的に彩度を補うため、特色として鮮やかな蛍光ピンクを追加するという手法が使われている。

「コミック原稿の再現に蛍光ピンクを使うという手法自体は、古くからあり珍しいものではありません。ただ、原画の色づかいや描かれているストーリーを考えて蛍光ピンクの使い方を変える必要があるため、決して“マンガの製版”と一括りにすることはできません。」(高本)

5月/6月


©尾田栄一郎/集英社
カーソルを乗せるとプロセス4色のみの画像に切り替わります

 例えばキャラクターの肌の色の場合、マゼンタ版全てを蛍光ピンクに置き換えてビビッドなイメージを作るなど使い方はいろいろあるが、今回はマゼンタ版をベースに彩度を足す特色ピンク版を作成した。

「このイラストの中では、画面中央に走る炎に視線を集めることで動きを感じられる印刷に仕上げたかったので、炎部分(下図緑枠内)の蛍光ピンクの割合を多くすることで彩度を上げ、目が行くようにしました。逆に、画面左側にいるキャラクターの服(下図青枠内)の色味は、炎との対比をつけるため蛍光ピンクの割合を増やしすぎないように気をつけています。」(高本)


©尾田栄一郎/集英社
マゼンタ版
炎の部分にはほとんど色が入っていないのがわかる


©尾田栄一郎/集英社
蛍光ピンク版
マゼンタ版とは逆に炎の部分に色が入っている

9月/10月


©尾田栄一郎/集英社
カーソルを乗せるとプロセス4色のみの画像に切り替わります

 このイラストに多く使われている赤。この赤を原画どおりの彩度で再現するためには、マゼンタを蛍光ピンクに置きかえ、にごりをもう少し減らす必要があった。しかし、そうすると鮮やかなオレンジとの色味の差が少なくなり画面全体の色のメリハリがなくなってしまう。そこで、マゼンタの多いやや彩度の低い落ち着いた赤のままにし、オレンジとの差異を際立たせることで原画の持つ豊かな階調が伝わるような版設計を行った。

版の構成と刷り順

スミ版 → シアン版 → マゼンタ版 → イエロー版 → 蛍光ピンク版


蛍光ピンク版


イエロー版


マゼンタ版


シアン版


スミ版

 原画のカラーマーカーの彩度を印刷で再現するには、紙をコート紙などのツヤツヤした質感のものを使用する方法もある。しかし今回は原稿に使われた紙に近い、画用紙のような質感の紙を使いたいという先方の要望で、アラベールというマット系の紙を使用した。この紙はインキが沈みやすく、色味が暗く見えることがわかったため、色味を明るく見せるイエローのインキを厚盛りにすることで、全体の明度と濃度を保った。


©尾田栄一郎/集英社
アラベール
画用紙のような質感でやさしい風合いがある

特色を追加しても、原画と同じ色味を印刷で再現することは難しい。しかし、イラストに描かれたストーリーを汲み取って1番忠実に再現すべきところを取捨選択すれば、原画と印刷のイメージの乖離を少なくすることができる。
「今まで様々な特色を使う印刷に携わり、ノウハウを貯めてきました。けれど、コミックは原稿の中の1枚1枚違ったストーリーを読み解きながら最適な製版を考えていくので、毎回全く違う仕事のように感じられます。そこがコミックのプリンティングディレクションの醍醐味です。」(高本)
(2011.01.17)

ONE PIECE 2011年カレンダー

サイズ
A2

インキ
・シアン/マゼンタ/イエロー/スミ/蛍光ピンク
(東洋インキ製造株式会社)

用紙
表紙:クラシコトレーシング/A判 74.0kg
(三菱製紙株式会社)
本文:アラベール スノーホワイト/A判 90.5kg
(日清紡ペーパー プロダクツ株式会社)

スクリーン線数
175線

漫画家
尾田栄一郎

プリンティングディレクター
高本晃宏(凸版印刷)
立木令央(凸版印刷)

製版
株式会社トッパングラフィック
コミュニケーションズ(小池洋子)

クライアント
株式会社集英社

制作年
2010年

【取材協力】
高本晃宏
凸版印刷株式会社
情報コミュニケーション事業本部
グラフィック・アーツ・センター

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