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写真の強さを製版でつくる
「1枚の写真をポスターにします。どちらかというと淡い色調の写真ですが、これを印刷によって大らかなのに知的でユーモアもあるものとして定着してみたい。たとえば弱くてやさしいニュアンスなのに色のコントラストはビシッときているとか、印象づけたい商品のビジュアルだけ不思議と強く見えるとか……。普通なら基本の4色分解をベースにせいぜい1色かニスでメリハリをつけるところでしょうが、たとえば製版のワザで写真の次元を変換できないでしょうか。パッと見は普通のきれいなポスターなのに、よく見ると『なんか面白いぞ!』と違う世界がひらけてくるような、そんな印刷を考えてください」
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写真原稿(紙焼き)
ほかレイアウト指定データ
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紙の個性でどう変わるかもトライアルと考え、普段はあまり使わないような紙に挑戦。紙自身にシズルがあるような特殊なニュアンスをもったものも候補に加えた。
インキはプロセス4色で、レギュラーインキと広演色インキ「Kaleido」の両方を試した。
| ※Kaleido・・・ |
従来のプロセス4色印刷では再現しきれなかったRGB画像の広い色領域を、6色、7色印刷に近いレベルで再現可能とした4色プロセスインキ |
用紙
| OKトリニティNavi/スペシャリティーズ 169/アルグラスPCF157(ホワイト)/フィオーレGA(スノーホワイト) |
インキ
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製版は、ライト部分を強調して、中間部分からシャドウ部分にかけてボリュームをアップさせるとともに、メリハリ、コントラストをつけて強い印象をねらった。また、鮮やかな純色は濁りが出ないように補正を行った。
線数は高精細製版(300線)と擬似粗線(65線)の2種。これを原稿2種×インキ2種で出校した。
また、一つの絵柄の中で300線と65線を組み合わせたものも出校した。
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【原稿Aを用いたテスト】
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用紙:OKトリニティNavi |
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300線/広演色インキ「Kaleido」
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広演色インキ「Kaleido」のディテール(左より300線/65線) |
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レギュラーインキのディテール(左より300線/65線) |
【原稿Bを用いたテスト】
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用紙:OKトリニティNavi |
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300線/広演色インキ「Kaleido」
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広演色インキ「Kaleido」のディテール(左より300線/65線) |
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レギュラーインキのディテール(左より300線/65線) |
【300線と65線を組み合わせたテスト】
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用紙:OKトリニティNavi |
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ディテール
緑色のメモブロックは300線、その後ろに見える人物は65線となっている |
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佐野氏のコメント
「原稿が小さなプリントなので、300線という細線の良さは生かしきれなかったかな。粗線のほうはもっと粗くしていったら面白くなりそうな予感がします。それにしても広演色インキは発色がきれいでいいですね。
だけど、これをここからどう展開するかが難しい。特殊な印刷技術やインキを使って特殊なものをつくるというより、実用にも繋がるようなトライアルになるようなアプローチを探してみるつもりです」
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異なる線数を組み合わせた複合製版は、大きく拡大していくと線数違いの効果はよりはっきり出るだろう。元原稿がシャープで、しかももっと極端な粗線と組み合わせてみると面白いかもしれない。今回のトライアルは基本を押さえたという感じだろうか。ここからどう展開していくのか、佐野氏のディレクションが楽しみだ。
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「印刷によって、1枚の紙という実体を超えた存在感をポスターに与えるためにはどうしたらいいか。じっくり考えてみることにします」
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佐野研二郎
Sano Kenjiro
アートディレクター
1972年東京都生まれ。MR_DESIGN代表。主な仕事に、資生堂ザ・コラーゲン、LISMO!、THE ROLLING STONES、地球ごみ袋、nicoプロダクト、サザンオールスターズ携帯、au携帯統一パッケージ、井上陽水、宇多田ヒカル、いきものがかり、YUI、TブーS!、ニャンまげ、キリン発酵ウコン、フランフランPIGMUG、ミツカンとろっ豆、ベネッセほっぷ等。みうらじゅん賞(ニャンまげ)、日本パッケージ大賞金賞、NY ADC賞、東京ADC賞、東京TDC賞、JAGDA新人賞など受賞。www.mr-design.jp |
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