|
網点を変形させてみる
「本来、網点は規則正しいもので、ドットが大きくなったり小さくなったりしながら再現していきます。そんな網点が大好きで礼賛しています。だからこそ逆に今回、デジタル化で限りなくズレがなくなった網点にあるルールを加えて従来の考え方を壊して表現の幅を広げてみたい。それも手作業ではなく、汎用性のある印刷の技術のなかで実現してみたい。そこで網点に分解したものをさらに網点で分解したり、網点を変形させてみたり、線数の異なる網点を組み合わせてみるなど、いろいろシミュレーションしながら可能性を探ってみました」 |
 |
 |
画像データ |
|
|
CMYKの網点表現のさまざまなバリエーションを確認するのが第一の目的であるため、特色を使用する場合や一部例外を除き、基本的には、データから直接色校正を出力し、なおかつ網点が再現できるDDCP(Direct Digital Color Proofing)を採用した。
入稿された画像データを擬似的に粗い網点で作成。それをもとに、網点を変形させた多数のバリエーションを作成した。 |
 |
|
 |
基本パターン
網点を拡大したもの(各版で異なる線数を用いた)
|
|
 |
|
 |
網点をさらに拡大したもの(各版で異なる線数を用いた)
|
|
 |
|
 |
基本パターンを用いて、網点が十字になるように変形したもの
|
|
 |
|
 |
基本パターンを用いて、網点をCMYKそれぞれのスクリーン角度の方向に変形したもの
|
|
 |
|
 |
4色モノトーン(CMYK4色でモノトーンを表現する技法)として4版作成し、網点を拡大、一方向に変形したもの
|
|
 |
|
 |
トリプルトーン(3色でモノトーンを表現する技法)として3版作成し、網点を拡大、さらに変形をかけたもの
※特色を使用するため、スミと2種類のグレーで校正刷りを行った
|
|
 |
 |
刷りに見入る
秋田氏(右)と
デザイナー橋本氏(左) |
|
秋田氏のコメント
「規則にひとつ操作を加えて規則性を超えたい……、と思ったけれど、なかなか規則性は壊れないものですね。壊そうとすると違う形の規則が出てくる。モアレが発生して新しい規則性によってストライプになったりする。デジタルから離れようとしているんだけれど、逆にデジタルっぽくなってしまったと反省しています。
いずれにせよ、印刷そのものがデジタルになったことで、今回作った擬似的な網点も純粋にゼロかベタかではなく、すべてが画像になっているんですよね。それを踏まえて、通常の僕らデザインサイドで行うエフェクトの範囲ではなく、印刷の現場でどう網点の世界を広げていけるかがトライアルになる。その糸口を探さなければ…と気合を入れている」
|
|
現段階のトライアルは印刷というよりコンピュータ内でのシミュレーションを現実に再現する作業が中心だ。印刷がデジタルに置き換わったために、きれいに再現する道筋は格段に進歩したが、一方でズレの幅が極端になくなっている。どうやってそこを突破するのか、我々としても非常に興味深いトライアルになりそうだ。
|
|
|
「網点を極めるというより、網点の表現の幅を広げるトライアルへとシフトしたいと思います。きれいなものが当り前とされている印刷物を印刷物として再認識するような、網点の存在感をより実感できる表現を探してみます」
|
|
|
|
秋田寛
Akita Kan
アートディレクター
1958年兵庫県生まれ。東京造形大学ビジュアルデザイン科卒業後、田中一光デザイン室を経て、91年アキタ・デザイン・カン設立。企業のブランディングや広告、文化関連のグラフィックデザインをはじめ、ブックデザイン、サイン計画なども手がける。主な仕事に「ISSEY MIYAKE」「TOTO」のグラフィックデザイン、「箱根ラリック美術館」「PARK HYATT SEOUL」のサイン計画、「建築MAP東京」「ルイス・バラガンの建築」のブックデザイン、「春秋ツギハギ」「AOKI」のロゴタイプ等。JAGDA新人賞、東京ADC原弘賞、NY ADC銀賞ほか国内外で受賞多数。東京造形大学教授。 |
|